2008年09月21日

集合ラッパが聞こえなくて

今回&次回は久しぶりに映画レビューである。例によってネタバレ容赦なく書いてるので、嫌な方は映画を見てから読まれる事をお勧めする次第である。
今回はストーリーに関する私の勝手気ままな印象を、次回は武器・装備品・考証など小ネタに関してを筆の赴くまま書き連ねてみたい。

先日のビクトリーショーで上映していた映画が「国共内戦ー朝鮮戦争を扱った映画」だというのでこれは要チェックと思いブースを回って探したところ、あったーっ!
という訳で問答無用で買って来た。
そのタイトルを「集結号(ASSEMBLY)」と言う。劇中で出てくるが、部隊の集結を合図する号令(今回はラッパによる指示)の事なので、今回のタイトルは昔々に裕木奈江が歌った「ポケベルが鳴らなくて」に引っ掛けてみた。(古いなー。わかんない人多いだろうなー)
ちなみに中国のアカデミー賞に相当する「金鶏百花映画祭」で9部門中の4部門を受賞したそうだ。

あ、そうそう私が買って来たのは英語と中国語の字幕(音声は中国語のみ)で、とりあえず英語字幕で見ているのでもしかするともう一回中国語字幕で見たらすっきりする部分とかあるかも知れない。
結構とって付けたような妙な訳文とかがあったからだ。
と言う事で、もしかすると英文字幕とかも私の読み違いとか勘違いもあるかも知れない。まあまだざっと1回だけ見たところで、印象に残った諸々という事で読んで頂きたい。

さて、大きなストーリーとしては、捨て駒残置守備隊のお話である。47名の部隊が1人・また1人と戦闘の度に欠けていく様が鮮烈に描かれており、結構エグい。
戦死した政治将校に代わって書生上がりみたいな戦闘未経験の新しい政治将校が配属になるんだが、「彼は読み書きが出来るぞ」ちうのが大々的に紹介されるあたり、当時の紅軍事情が伺える1シーンだ。

冒頭の市街戦で数多の部下と政治将校を失った主人公率いる一隊は、炭鉱に設置された塹壕陣地を合図あるまで死守する事を命じられる。補充は結局政治将校1名のみという状況で、だ。
再三に渡る国府軍の波状攻撃が、主人公率いる一隊の守備する塹壕陣地に対して行われる。シンレッドラインの日本軍宜しく、ヤケに火力ある様な気がしないでもないがまあ「我が隊は爆発物のスペシャリスト集団だ」とか何とか言うシーンがあったので、その点ちょっと他部隊とは違うと割り引いて見てあげよう。
ボルトアクション主体の射撃シーン、良いね。あ、こういうのは次回ネタか。
まあ仕掛け爆薬やら何やらで、ワラワラと攻めてくる国府軍を数度に渡り撃退するものの、毎回被害を受け戦力は減退、敵は戦車まで投入し最終的に陣地は陥落してしまう。
その陥落直前の防戦後、瀕死の軍曹は「集合ラッパを聴いた」という。他にも聞いたという者がいるが、主人公の部隊長は戦闘中砲撃を至近弾で食らっていて聴力を一時的に失っていたのだが政治将校も「聞いていない」と言った事もあり、後退を認めなかった。彼にとっては「もしかしたら自分が聞こえていなかった間に号令はあったのかも」という自責の念に後々まで駆られるのだが、まず場面は野戦病院に飛ぶ。
(ちょっとこの間、映像的な説明がだいぶはしょられている気がした)

彼は元々第二野戦軍所属だがこの病院は第三野戦軍管轄化で、しかも彼は何故か他人の軍服を着用して収容されており、為に彼の話はなかなかまともに聞いてもらえない。
そんな中、朝鮮戦争勃発で砲兵を必要としているという呼びかけがあり、彼は志願する。
「対戦車砲を撃った事ならある」と嘯くが所詮専門教育を受けた訳ではないのでその経験についてはすぐに見透かされてしまうのだが、それでも何とか朝鮮戦争に従軍していく。
移動中、砲兵隊の指揮官が地雷を踏んでしまい、彼は間接砲撃の成功を優先させる為に彼の靴ごと地雷を引き受ける。
(朝鮮戦争の場面は、この指揮官と主人公のつながりを作る為に無理やり設定された感を受けた。戦闘シーン的にはあまり見所はない)

そしてまた数年が経過。
主人公は元陣地守備をしたかつての炭鉱に帰ってくる。部下を掘り出し供養する為に。
彼は抗美援朝(朝鮮戦争)まんまって感じの軍服なのだが、他の軍関係者は皆、俗に言う「55年式装備」って奴でソ連に範をとったパリッとした感じの軍服。この辺の対比も主人公だけ時間が進んでいない的な演出なのだろうか。
地雷は爆発し、彼は命こそ助かったものの頭内には破片が残りだんだんと視力が衰えていく状態であった。
もう陣地がどこだかすらわからない様な変わり様の中を、彼は部下を探して掘り続ける。

同時に、命令で残ったにも関わらずその状況を知る者がいなくなっており自部隊員が「行方不明者」扱いになっている事への名誉回復をも求めて関係者と空しい戦いを続ける。
(申し訳ないが、ちょっとこの辺ぬるく感じた。ストーリー的には必要なんだろうけど・・・)

この彼のたった一人の戦いに手を貸すのが地雷から命を救ったかつての朝鮮戦争での上官である。
苦闘の末、司令部付当番兵だった者が生き残っている事が判明、当時の上官の墓の前で再開する。
が、実は集合ラッパは吹かれていなかった。当時の当番兵(ラッパ手?)ははっきりと答えた。
その後の後退のどさくさと、本隊の後退する時間かせぎに彼らの残置玉砕は仕方がなかった。しかし司令官は死の直前までその事を悔いていた、という。
左腕を失い、ただ詫びるばかりの当番兵に食って掛かる主人公。
しかし、これで行方不明や脱走などではなく命令により文字通り死守した事は明らかとなった。

そして。
玉砕した46名の慰霊碑の前で、慰霊祭が行われる。1名を除く47名全員が命に従い死守を行った旨を申告する主人公。そこで受申した将官より傍らのラッパ手に命令が出される。
「集合ラッパを吹け!」
慌てて応じる若いラッパ手。

私はもうこの辺、目頭が熱くなってしまった。映画館で見たら泣いてたかも知れない。
この奮戦を称え、叙勲が行われる。黒盆には47名分の勲章が用意されている。
そのうちの1つをつけてもらう主人公。パリッとした55年式軍服で居並ぶ数多の軍高官達と、くたびれ切った抗美援朝の軍服を纏いたった一人で対面する男の対比(しかも主役は後者だ)。こういうの堪らなく好きだったりする。

そして最後。幻の47名が意気揚々と後退するシーンが出て来て、物語は幕を迎える。


・・・すごいね。戦闘シーンとかはだいぶリアルに作りこまれている。
中国映画と聞いてかつての「特攻大戦略(コードネーム・フラッシュ)」とかを想像したらもう全然別物だから。
演出もかなり力が入っており、単なる「勧善懲悪・シャンシャン」ではなく、内面描写とかにも果敢に挑んだ事が見て取れる。
見終わった後すごく重い気分になるという点、「冬戦争」に近いものを感じた。

最後に軍事オタ向けアドバイス:
「戦闘シーンは冒頭が一番すごい」という、「スターリングラード」や「プライベートライアン」的な展開を見せるので、それを承知なら、一見の価値はあるといえるだろう。

次回は1シーン1シーンの細かい所あれこれを。
posted by 紅中兵 at 20:57| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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